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浜の小屋

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2011年 08月 26日

亀の話

俺の暮らす漁村ではウミガメは神様なので丁重にあつかう。
いつ頃からそうなったか漁師は知らない・・・。

定置網に亀が入ると直ぐにわかる
呼吸をするために数分おきに水面から顔を出すから。
年間に大小合わせ15頭くらいはそれに出会う。

網が狭くなり魚が追い詰められる・・・
船に魚をすくい揚げる前に最初に亀をすくい上げ、船上で亀の腹を上にして寝かせる・・・
腹が下になると海に帰りたくて水かきでそこらを這い廻すから。
それが終わってから網の魚を船に取り込む・・・。

魚を取り込み漁が終わると定置網から1kmくらい離れ、船上の亀をリリースする。
海に帰す前、亀に酒を飲ませる・・・漁師は神様(亀)にお神酒を捧げる。
そして大漁を亀に祈願して海に放す。
いつ頃からそうなったか分からないが・・・昔からそうしているから今でもしている。
漁村では時代が変わっても亀の慣わしは今でも変わらない。

海岸にも年に1~3頭くらい死んだ亀が漂着する・・・
浜辺に埋めてお神酒をぞんぶんにそなえ、その場で漁師はささやかな酒を飲む。
そして毎年、11月の10日には「龍宮祭り」を浜辺に祭壇を造り神官が神事を行う。
その日は集落休漁日になり、漁師は直会の酒を飲む。

俺の推測は、亀には龍宮伝説もあるが物語のテーマは「望郷」で・・・
空想的には、亀の形からUFOか潜水艦に拉致された漁師が異次元で生き、そして漁村に戻る・・。
「かぐや姫」や「鶴の恩返し」の逆バージョン・・・?
現実的には、天平時代に遣唐使に同行した水夫の漁師が唐で幸せに暮らすが・・・
望郷の思いは消え去らず、祖国の漁村に戻った・・・・?

昔から漁村では鶴は千年、亀は万年と言われ・・・
長生きできる生き物として大切にあつかわれてきた。

by hama-no-koya | 2011-08-26 16:58 | Comments(0)


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