仲間と阿武町の地図を作ることにした。
そして、地図が刷り上がった。
構想からかれこれ一年がすぎた。
苦労したわりに達成感や感動がない出来上がり。
編集作業でいつもみていたから。
何かが終わったと同時に、何かがはじまる予感がする。
田舎町のこれから。
何の目的で地図を作るのか。
はじまりは田舎町のツーリズム資源の掘り起こしだった。
でもその資源は乏しく取るに足りない。
あれこれする中で田舎暮らしの現状が地図のテーマとなった。
被写体は、田舎で暮らす人とその環境。
シャイで少ない言葉から感じとる会話的な取材。
奥の深いシリアスな現状を分かりやすく地図に置く地道な作業が続く。
数多くの中から選ぶ写真はその人や阿武町らしさを求めた。
説明書きは、言葉がそのまま伝わる文体にした。
少ない文字数で田舎を枠に収める。
地元目線で取材してざっくりと素朴に編集した。
編集後記
企画から構成、編集の中心を宮下裕史が担当。阿武町の空き家に一時期住み込み取材を続けた。
彼は学生時代から何度も阿武町を訪れている。いまから十数年前の夏の終わり、大学のゼミ合宿がはじまりだった。
不肖・宮下は取材で毎日自転車をこいで町内を走り回った。途中、減ったタイヤを交換した。
田舎には四季があり、制作にほぼ一年を費やした。
原稿は地元の漁師と宮下が担当、言い合いながらなんとか書きつづった。
阿武町で暮らすひとたち、
阿武地域グリーン・ツーリズム推進協議会、
地域おこし協力隊、阿武町役場・・・
国の補助事業を活用して、地域の住民で作成した暮らしの地図。
阿武町の良さを知ると同時に厳しさも知る。
これを元気のツールにしたい。