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浜の小屋

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2014年 12月 22日

干物




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漁村では晩秋から冬先にかけて多めに干物をつくる。
アジ・サバに限らずカマスやイサキと小魚をなんでも開きにする。
魚を開くのは、食べやすさや乾燥と塩の効き具合から。
冬場の自家用保存食として昔からそうしてきた。

この時期の干物は、気温と風と湿度と日差しが干物づくりに最適する。
水が冷たくなると加工過程で鮮度が落ちない。
夏場も干物はつくるが、紫外線や気温や湿度が高く気をつかう。
ハエやカラスや猫もひんぱんに活動する。
魚の干物は季節によって出来上がりが若干変化する。


干物の開きには腹割りと背割りがある。
昔は背割りが多かったが近年は腹割りが主流となる。
魚を腹から開くと、あばらの小骨が簡単に除去できるから。
小骨があるがら魚が嫌いの人もいる。
腹割りは切腹のイメージがあり武士が嫌ったの説があり、
一方では腹を割って話すの説もある。
真相はどうでもいいこと。
漁村では関係ないが、それが商品名になると一利ある。
そこらの干物も洞察すると面白い。



干物_d0159062_21220932.jpg


漁村にリアカーの上で魚の開きを干すおばさんがいる。
雨が降った時に入れやすいからではない。
風向きや日当たりを考え場所や角度を変えることができるから。
街のさすらい人には理解できないことだろう。
魚の干物は食文化で歴史は古い。

自家用の干物は家によって出来上がりが微妙にちがう。
制作者の性格が几帳面と大雑把でもちがう。
塩の加減も乾燥具合も・・・
自家用干物は家庭の味に干上がるから。

町役場の保健師さんは、
「あまりショッパイものをたべないでね!」というが、
つい食べてしまうのが魚の干物。
自ずと体が求めるから。
温かいご飯にも、お酒にもあう干物。


初冬のやわらかい日差しと海風が育む、
いつもの海辺暮らし。



干物_d0159062_21220939.jpg






by hama-no-koya | 2014-12-22 05:07 | Comments(0)


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