大豊への目的は「NPO法人元気おおとよ」訪ねること。
活動の拠点は古いプレハブ風の建物だった。
拠点は事務所というより、町づくりのベースキャンプと直感した。
町のシェルパは、気さくで元気な富山県生まれの大豊女子。
ポーターは、目を疑う活きのいい青年男子。
大豊の町おこしと登山が重なるので山用語に例える。
ここは高知でネパールの秘境ではない。
高知には海があって山があって川がある。
そこで暮らす人々が居た。
肩書きは、特定非営利活動法人。
「元気おおとよ」の活動は途上だが前向きの明るさがある。
はやりのLEDでなく白熱灯のよう温かい光。
活動に気持ちがとけ込み無理がない。
津々浦々で町おこしが行われるが、大豊には大豊らしさがある。
住民の元気指数が高い地域だから。
のんびり部分と、少しばかりの厳しさが同居する田舎暮らし。
昭和の家族は、泣いたり笑ったりして暮らしていた。
ささいな過ぎてきた幸せのかたち。
完成より途上の前向き。
田舎町の課題は生産人口の減少。町に住む人が減れば空き地や空き家が増える。集落は元はと言えば開墾で、人が住んで居なかった原野もある。人が居なくなれば里山は野山に戻る。ただそれだけのこと・・・
静かに暮らせる所を求めて田舎へ移住する人が居れば、田舎をにぎやかにしたいと思う人が居る。両方が必要で、それが町おこしの現状と大きな課題でもある。大豊は自然と田舎らしさが残存する地方の町。現実と理想の狭間で暮らす人。
ここは大豊ぐらしの見本住宅。
街の住宅展示場とちがい新しさも近代さも無いが、
面白みがある田舎の家。
不動産価値より、暮らしの価値を優先する住まい。
太い野物に支えられた田舎の家。
もしも三日だけ、どこでもいいから暮らしていいなら、
東雲のタワーマンションで、ニューヨーク・トリオを聞いて暮らしたい。
街の灯と海の見える部屋で、赤いワインを飲みながら・・・
田舎で暮らしているから街の夢を見る。
反対側にある「絵のない絵本」の世界。
空想と現実の田舎暮らし。