漁をやめた一人の男が漁村の空き地に花を植えた。
川原に自生していた花の小苗を寄せ集めた。
石ころだらけのやせた空き地が花畑に変貌した。
男はまめに水をやり、草取りもした。
誰に言われたわけでもない、自分のおもいを花畑に変えた。
素朴できどらない暮らしの作品。
けなげな花が咲く漁村。
漁村も空き家が目立つようになった。
時代に流されても、いつものように暮らす漁村の人々。
男のなにげないおもい。
浜の掃除や草取りですごす日課。
小春日和にはのんびり陽にあたる。
気ままな日々をすごす。
生まれ育った海辺でいまも暮らす。
冬が近づき、花畑は空き地へと戻っていく。
春にはけなげな花が咲く。
漁村の花畑を泳ぐ一匹の白い金魚。
なにも考えないで生きている人はいない。