我が家の裏手を走る豪華な臨時列車。
見なれると珍しくもない。
とは言っても、ついつい追いかけてしまう。
大人の子供心。
朝方に汽車の橋を下る豪華で長い臨時列車。
橋を通過後、車で列車を追いかける。
無理しなくても、10分も走れば列車に追いつく。
豪華な列車は、海辺の木与駅でしばらく止まっているから。
巨大な生き物が休んでいるようにも見える、機械らしい乗り物。
あまりにも長いのでホームから巨体がはみ出す。
重厚なのに妙にひょうきんな間抜け顔。
新幹線とは真逆の列車。
山陰本線のこの区間は単線運転。豪華な列車は下りホームで上りのタラコ列車と離合する。離合とは、田舎言葉で列車の待ち合わせと行き違い。普通列車が停車して、対向の上級列車を待つのが我が国の慣例。木与駅では、老いぼれのキハ40系のタラコが豪華な列車を何分も待たせる。譲り合う地元列車の優先区間。それとも偶然で、単なる臨時列車のダイヤなのか。人と海と小休止の無人駅。先を急がない旅。昔の秋は遠足の季節。
豪華な列車でなくても何処かに行きたい。
今は旅人を見送る漁師。
ローカルな自己表現で写真の右端を意図半端に切ってみた。
その場表現と被写体の深読み。
考えると、風景写真と言うよりポスターになる。
他人のこころをつかむより、
自分のこころをつかむ暮らしの小作品。
たまには、普段がおもしろくなる日もある。
ここは山口県阿武町。