浜の小屋

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2014年 10月 30日

晩秋の魚 アイゴ




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アイゴがいちばん多いのは夏だが、少ないが秋も獲れる。
夏のアイゴに比べると秋のアイゴは脂がのって身が厚くなり美味しい。
それでも市場に出すことがない魚。
原因は死後時間が経つにつれ磯臭さが増してくる。
背びれや腹びれのトゲに毒があり、刺されるとかなり痛い。
普段店頭で見かけないので食べ方が分からない。
見た目に美味しそうな魚でない。

秋のアイゴの美味しさは毎年のことなので漁師は知っている。
夕食の酒の肴に新鮮なアイゴを船上でさばく。
美味しさを保つには、なるべく早く内臓を処理すること。
魚を丸ごと家に持ち帰ると内臓や骨や背びれが生臭ゴミになるから。
取り扱いや調理の仕方で雲泥の差が出るアイゴ。
魚にもそれどれの個性がある。

漁師のアイゴの食べ方は刺身が一般的だろう。
磯のかおりは残るが白身の魚なので知らなければ高級魚に見える。
フライもいけるがなぜか煮つけにはしない。
身だけにして干物にもする。

漁村ではアイゴのことを昔からバリといって嫌われの魚。
家で食べるだけ数匹持ち帰り、残りは廃棄する。
バリを商品化すればの話もあったが漁師は問題にしなかった。
バリにはバリの扱いが漁村にあるから。
バリは昔から自家消費の魚。


美味しくても売れない魚がいてもいい。
魚は売り方だろうが、毒があってもフグは高級で高く売れる。
根っからの漁師に儲かる六次産業は無理だろう。
漁師が漁師でなくなる日が来そうだ・・・
世の流れがそうだから。
儲かればいい漁業と生き残る漁業はちがう。
暮らしが大切だから。

漁師は漁師でありたい。
今さらつぶしがきかない日々の積み重ね。
文化でもない漁村の暮らし。




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by hama-no-koya | 2014-10-30 05:05 | Comments(0)
2014年 10月 29日

漁村の医療




夜中に仲間が急に腹が痛くなった。
夜間診療の病院まで連れて行くには車で35分かかる。
救急車は片道30分かかり119に電話して約60分で病院に到着する・・・。

まず、24時間健康ダイヤルに電話をして夜間病院をきいた。
その時に、病人の状況と様態を電話の相手に伝える・・・
応急の手当や対応の指示がある程度聞ける。
その場の判断で救急車をよばずに病院まで連れて行くことにした。
マイカーでの病人搬送は暗くて長い道のり。
大事に至らないですんだ仲間。
これが田舎の急病人の夜間や休日の対応になる。

田舎の不便さは日常でそのように暮らす。
郷に入れば郷に従う。



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漁村に広場がある。
ここは緊急時はヘリポートになる。
ここ数年、山林火災で防災ヘリが一回とドクターヘリが二回飛んできた。
連絡を受けてから約15~20分でヘリが漁村に飛来する。
その間に消防団員を集め受け入れ準備をする。
過疎地区の分団長だから。
訓練では孤立を想定して自衛隊のヘリも漁村に着地したことがある。
孤立すれば漁港の岸壁は海上からの支援も可能になる。
住民の生命は救援がくるまで地域で守る。


過疎地の緊急対応はそれなりに整備されている。
急病人や災害はいつか必ず発生する。
それに備える田舎暮らし。



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by hama-no-koya | 2014-10-29 05:15
2014年 10月 27日

漁村の草刈り




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漁村の維持に欠かせない草刈。
春と夏と秋に集落総出で道刈の作業を行う。
草刈の総延長は約1kmもある。

早朝から草刈機のエンジンが響く。
元気な男は草刈機を使い女性は主に刈った草の整理にあたる。
漁村に続く道は村人のライフラインだから。
物流や電気電話だけでなくテレビやインターネットのラインもながれる。
見えないが道の地中には上下水道がながれる。
並行して国道191号線とJR山陰本線が通過する。
情報の動脈だがそれも大切な暮らしの道。
インフラが整備されても過疎の村。
心臓部から遠く離れている末端の部分だから。

暮らしの豊かさとはなんだろう。
利便性も所得も田舎暮らしに必要だが他にもなにかある。
自分がそこでなにをしたいのか。
それは実感や充実感として通常はかたちに現われない。
日常は力みのない平穏な暮らしだから。



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半日の草刈が終わるとジュースが配られる。
自治会長のみなさんご苦労さまでしたの言葉で草刈が終わる。
自分たちの村は自分たちで守る。
田舎で暮らせば草刈の作業に参加する義務がある?
それが今の田舎暮らし。

村が存続するには、草刈も大切な田舎行事。
田舎で暮らせば忙しい。







by hama-no-koya | 2014-10-27 05:16
2014年 10月 20日

漁師の花畑




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一人の漁師の船が港からなくなった。
病気になり、漁をやめた。
男は波止場から毎日、近くて遠い海をみている。

出漁日数は村いちばん、来る日も来る日も、海へ出た。
水揚げはそのわりに多くなかった。
煙草と酒が楽しみだった。いまはそれもやめた。
根っからの漁師。

いまは漁をしなくなった、海をみる一人の男。



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漁をやめた一人の男が漁村の空き地に花を植えた。
川原に自生していたマリーゴールドやケイトウの小苗を寄せ集めた。
石ころだらけのやせた空き地が花畑に変貌した。
男は日照りに水をやり、草取りもした。
誰に言われたわけでもなく、自分の想いを花畑に変えた。
男は魔法使いでなくただの人。
意味もなく素朴で気取らない暮らしの作品。
けなげな花が咲く漁村。



漁村も空き家が目立つようになった。
時代に流されても、いつものように暮らす漁村の人々。
先を観ることもなく今だけを見て地道に暮らす。

一人の男のなにげない想い。
男は残された時間を浜の掃除や草取りですごす日課。
小春日和にはのんびり陽にあたる。
遠くまで歩いて買い物に行き、一人で食事を作り食べる。
元気なのか幸せなのか他人にはわからない風貌。
誰かに言われてなにかをするでなく、自分のおもいで日々をすごす。
老後や引退の言葉を感じない海辺の暮らし。
生まれた地で死ぬまですごす意味。
田舎暮らしに余生はない。



こころあたたまる漁村の裏話。
日常なので誰も感動しないが暮らしの美談。
物語でなく漁村の実話。

漁村の花畑を泳ぐ一匹の白い金魚。
なにも考えないで生きている人はいない。
いつもの田舎で暮らす。



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by hama-no-koya | 2014-10-20 05:05
2014年 10月 18日

新宮山




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新宮山に御山神社の奥宮がある。
その昔、紀州から神様が飛来したと伝わる御山。
海抜483mの山で、漁村から棚田道を経てその先は山道。
御山神社から歩き始め約50分で山頂に着く。

普段は山登りが目的だが、地元漁師にとって新宮山は信仰の御山。
新宮奥宮で春と秋に例祭がある。
漁師は神様に新鮮な魚を供え大漁と安全を祈願する。
新宮山は海からひときわ見栄える。

新宮山の登山は思ったよりきつい。
急な山道が山頂に向かって直に付いているから。
奥宮までは1478の段々でつながる。
一歩づつ段を踏みしめて登る。


昔の新宮奥宮への山道は急坂の泥道だった。
足元が悪く滑りやすく参拝の登山者は大変だった。
村人たちはコンクリートブロックを一段づつ積み重ね道にした。
村人の思いはいつしか1478の段々になった。
誰かが言った。 石縄のような道だと。
奥宮への急坂道が村人たちによって歩きやすく整備された。
村人たちが一つの目標に向かう地道な作業。
あの頃だから出来た村の偉業。



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今年の新宮例祭には妻が同行した。
ネパールの山歩きまでする妻だが新宮山の道は厳しいという。
直登の段々が原因だろう・・・
低い山だが新宮山の1478段を歩く意味はある。
新宮の段々は何かを感じるところ。







by hama-no-koya | 2014-10-18 05:15 | Comments(0)
2014年 10月 16日

線路沿いの畑




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線路脇に止まる一台の三輪車。
漁村は土地が狭い、家庭菜園は必要だが少ない。
線路裏に残るわずかな土地に自家用の野菜を作る村の老婦人。
菜園場が家から離れているので毎日自転車で通う。
畑道具や野菜を積むので倒れない荷かごが付いた自転の三輪車。
趣味で畑を作るのでなく暮らしの野菜畑。
村人は体が動く限り何かをしているネイティブな田舎暮らし。
元気なお年寄りが多い海辺の田舎。



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手入れがいきとどく野菜畑。
いろいろな野菜が植えられている。
冬になると海からの冷たい北風が強くなる。
線路が垣根になり野菜が育つ。

近年になり鳥獣が野菜畑を荒らすようになった。
カラス、イノシシ、サル・・・
イノシシは畑をトタン板で囲めばなんとかなるが、
サルは群れで行動するので被害も大きい。
サル避けに作物の周りを網で囲み隙間なく天井まで網を張る。
それでも天井の網に数匹の猿が乗って網を垂れ下げる。
花火で追うと逃げるが人がいないと戻ってくる。
学習能力はかなり高いようだ。
サルの嫌がるものは赤いものらしい。
苦肉の策で赤いカニの絵を描いて畑に下げる人もいる。
それでもお手上げ状態。

里で暮らす人が減って野山が広がり鳥獣がふえた。
無差別に畑を荒らすサル。
サルんのほんとうに嫌いなものなんだろう。

なにかが増えればなにかが減る。
それも田舎の自然。




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by hama-no-koya | 2014-10-16 05:05 | Comments(0)
2014年 10月 13日

海辺の田圃




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海辺の田圃がいろづいた。
大型の台風が近づいているので急いで稲刈りをする漁師。
今年は稲の出来も良さそうだ。
品種はヒノヒカリ、海辺の棚田に最適で美味しいお米。
漁師が田圃で自家用の米を作る。

棚田の稲刈りは手間がかかる。
大型の機械が入らないので小型の機械で稲刈りをする。
零細なので高額な機械も買えないから。

機械の入らない手で刈る田圃もある。
刈り取ると束にした稲を天日で干して脱穀機にかける。
漁村の棚田で稲作をする漁師。
時代遅れの農業ではなく、昔からの伝わり。
稲刈りは田舎暮らしの風物。



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以前は我が家も漁師をしながら田圃を作っていた。
作付面積は7反あって農協に出荷もしていた。
生産者米価の値下がりと手間不足から徐々に作付面積を減らした。
数年前にすべての田圃を作らなくなった。
夫婦二人きりでは手が回らないから。
後から思えば大切なものを切り捨てた気もする。

稲を作らない田圃は翌年から草薮になり木も生える。
方々で元田圃の荒地を見かける海辺の山麓。
何かが変わっても何気ない里山の風景。
気取らない普段の美しさ。

早く稲刈りをしないと台風が来る。
雨風で稲が倒れると稲刈り作業が大変になる。
嵐の前に稲を刈る漁師。


里海の小さい秋
自然の中で自然に暮らす少ない里の人。
田舎暮らしは忙しい。



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by hama-no-koya | 2014-10-13 21:38 | Comments(0)
2014年 10月 10日

ウスバハギ




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こいつはカワハギの仲間でも大型のウスバハギ
なぜか今年はウスバハギが多い。
こいつは見かけによらず上品な美味しい魚である。
刺身でも鍋でも無難に両刀いける。
魚の形が薄刃包丁に似ているからウスバハギの名前がついた?
晩秋から初冬の魚。

昔はウスバのお吸い物にマツタケを入れていた。
近年マツタケが採れないので美味しいハギ汁が飲めなくなった。
季節の食材には長年の相性がある。
昔は漁村の山にも稀だがマツタケが生えていたらしい。
場所は教えてもらえなかった。

マツタケが海辺の山から消えても海のウスバハギは残っている。
海の暮らしと山の暮らしがつながる田舎。
店頭では切り身で売られるだろうウスバハギ。
その姿を知る人は少ない。
今頃は大敷網で毎日200~300匹は決まって獲れる。

魚消費の上位にランクされる魚種には共通点がある。
調理が簡単で食べて骨が気にならないこと。
決まった売れ筋だから食味はそれほど重要視されない?
人気のイカ、サケ、マグロ、・・・
その点からウスバハギは売れ筋要素のポイントがかなり高い。
水揚げが少ないので市場経済にはあまり関係ない魚。
ウスバハギは魚食普及の原点だが数が少ない。
市販の多くは国産魚だろう。

今が美味しいウスバハギ。
新鮮な刺身が食べられる海辺の暮らし。



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by hama-no-koya | 2014-10-10 05:25 | Comments(0)
2014年 10月 07日

イカの手?  足?


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こいつはケンサキイカ。
妻がきいた。 イカの足は何本あるの?
夫が答えた。 イカの手は10本。

漁村では昔からイカには足はなく、全て手だと思っている。
正解がなんだか知らないが誰かに聞かれたら
俺はイカの手は2本で、8本は足だと言っている。
イカは長い2本の手で餌を捕える。
タコは長い手がなく8本の全てが足である。
タコは海底を足で歩くから。 でも餌を捕まえるから手・・・
チンポが足先に付いている・・・?
意味不明で不思議だが漁村には漁村の答えが昔からある。

来週は街から子供たちがやってくる。
二泊三日を漁村で過ごす。
子供たちの体験学習を今年は4回引き受けることになる。
イカやタコの足の数は?
子供に聞かれた質問には学習だから正しく答えたいが・・・
分からないや、嘘は言いたくない。
イカは10本でタコは8本が漁師のおじさんの答案。
無難で一般的なイカ・タコの足の数。

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こいつは大型のソデイカ5~10kgぐらいあろう?。
見ての通りでアカイカとかタルイカともいう。
晩秋が最盛期となる。
こいつにも2本の長い手がある。

魚には学名があり学術的には手足の区別はあろうが、
漁師には漁師の考え方があり、地方には地方の文化や歴史がある。
何かに疑問を持った人がそれを自分で調べればいい。
それが体験学習であり、漁村へ来た意味でもある。

俺は先生ではない、漁師のおじさんである。
正解は自分で感じ自分で探せ。




by hama-no-koya | 2014-10-07 05:40 | Comments(0)
2014年 10月 03日

バショウカジキ




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カジキの仲間では小型のバショウカジキ。
地元漁師はバレンと呼ぶ。
こいつは約2.5mで25kgぐらい。
夏の終わりから秋口にかけて獲れる魚で今年はまばらで少ない。
多い年には、一網で何十匹も獲れることもある。
不漁や大漁を繰り返す大敷網漁。
回遊魚は海水温や潮流の変化を受けやすく気まぐれ。
それを昔から待ち受ける漁師。

バショウカジキの背びれは芭蕉の葉っぱに似ている。
だからバショウカジキの名前が付いた?
普段は背びれを閉じている。

大敷網でのカジキの捕り物は手順がある。
カジキの特徴である長い口ばしが凶器で取り込みの邪魔をする。
マカジキは大型で暴れるのでやたら近寄れないが、
バショウカジキは、鈎竿でかけ役、口ばしの握り役、こん棒で脳天の殴り役の
3人がかりで暴れる魚を残酷にも船に取り込む。 漁師だから。
格闘だがいつものワンサイドゲーム。
負けたカジキも食物連鎖で餌の小魚を容赦なく狙う。
そのカジキを捕獲して人が食べる。
誰もが生きるために。

船に横たわるカジキも、死ぬ前に一瞬だが鮮やかなブルーに輝く。
最期は美しくありたい生き物の本能だろう?
俺にも分かる気がする・・・
カメラで写さなくても自分に残る写真もある。









by hama-no-koya | 2014-10-03 17:04 | Comments(0)