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2014年 11月 25日

漁師の花畑 おもいで




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漁師をやめたヒロー二イの古い写真がみつかった。
今は、漁師をあきらめ漁村の花畑を手入れするそこらの人。
そんな彼も盛んな漁師の時代があった。
写真が物語る漁村の思い出。

高校を卒業したとき迷わず漁師になってから40年が過ぎたころ、
予期せぬ病気にかかりヒロー二イは漁師をあきらめた。
船も網もみんな処分したが気持ちまでは。
村では評判の御人好し漁師で、来る日も来る日も海に出る男。
漁師が仕事と言うより、海が好きな人。

多彩な漁師で磯建網・トビウオ網・ヤズ網などの網漁が主だった。
網漁は手間がかかり仕事の量も多い。
それでも人の手を借りることなく一人でこなしていた。
その合間に一本釣りもしていた。
儲けは二の次で多角仕事で、毎日が忙しい漁師。

器用な漁師ではないが、労務時間だけは誰にも負けない。
海が荒れた日は、休むことなく網の修理をする。
いつ寝るのか、いつ飯を食べるのか分からないほど働いていた。
水揚げはその割合に多くない。


若いころからヒロー二イと呼ばれた男。
年をとり年金暮らしになってもヒロー二イと皆から呼ばれる。
誰もが知る漁村の有名人。

なにを植えるか知らないが、今日も花壇の手入れをしていた。
枯れた花のかたづけと来年の準備のために。
気ままか忙しいのか分からない毎日の漁村暮らし。
それでもどことなく充実感が漂う。

陸に上がった何気ない一人の元漁師。
来年もヒロー二イの畑に、素朴でけなげな花が咲くだろう。
漁師の花畑は百万本の美しいバラの話ではない。
花が伝える人の気持ち。


誰もが撮る写真が絵ハガキのようにきれいになった中で、
過去のフィルム写真が一人の男を物語る。 
やわらかい光の中の笑顔。

なつかしい日常の記憶と記録の現像。



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by hama-no-koya | 2014-11-25 05:05 | Comments(0)
2014年 11月 20日

竜宮祭り




毎年、11月10日は竜宮祭り。
漁師は漁を休み朝から祭りの準備をする。
祭りの目的は、海の恵みに感謝と魚の供養をすること。
昔から海で生きる漁師。

一説には、竜宮つまりは亀の祭りともいわれる。
漁村では亀は神様の使いだから。
昔から、網に入った亀は酒を飲まし、もてなし海に帰す。
死んで浜に打ち上げられた亀は丁重に埋める。
そしてお神酒を供える。
日本の海辺に竜宮伝説があるように。



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漁師は、竹を切り浜辺に特設の神棚を造る。
昔から変わることもない形式で、統領が何人もいる組立作業。
あれこれ言いながら立派な神棚ができあがる。
毎年のことなので図面は記憶。



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神棚が出来上がると神事が始まる。
棚には神酒、散米、野菜、昆布が供えられる。
それに乾燥した炙り干しのトビウオを神棚に献饌する。
魚の供養と竜宮なので生の魚は供えない。
毎年そうしてきたから。

祭は昔からの儀式で、神官の祝詞が厳正に流れる海辺。
漁師は海に向かって深々と頭を下げる。
そして感謝の気持ちを表す。



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神事が終わると公民館で直会が始まる。
肴は前日に大敷網でとれたブリの刺身と煮つけ。
昔は、暗くなるまで酒を飲んだが今はお昼過ぎで終わる飲み会。
大酒を飲まなくなった行儀のいい今の漁師。
それでも飲み話がはずむ。

後かたずけは若者の役目だったが近年は全員で行う。
若者がいないもあるが、漁師関係が縦から横になったから。
昔は長老がいて大船頭が祭りを仕切っていた。
竜宮祭りは当地の漁師祭り。



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祭りが終わると神棚を解体しないで海に納める。
お供え物とお神酒も海に供える。
竜宮様に届くように。
ささやかな海辺の行事だが今も伝わる。


昔から海と共に暮らす漁師の習わし。
穏やかな小春日和。
やがて厳しい冬が漁村にやって来る。



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by hama-no-koya | 2014-11-20 05:03 | Comments(0)
2014年 11月 17日

もちまき



村では賑わいに紅白の餅をまく。
家の上棟式や船の進水式などの場面が一般的な餅まき。
神社の秋祭りにも餅をまく。

神社に集まる村人。
神殿で神事が行われ参拝者全員の一拝で祭りが終わる。
昔から氏神様を大切にする村人。
近年になり神社の氏子が減ってきた。 一般の参拝者も減った。
集落世帯の自然減が大きな原因。



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餅は紅白のセットで袋に詰められている。
昔は袋に入れず裸でまいていた。
足元が悪い日に拾った餅は泥が付いていることもある。
構わず拾うので洗って食べていた。



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餅まきの会場は誰もが拾えるように、二か所に分かれる。
参集者のハンディキャップを考えて。
一般専用と、もう一つは高齢者と幼年者の会場。
年寄り子供会場は、拾い人はしゃがんで餅が飛んでくるのを待つ。
幼児と年寄りの動作がどこかにている。
餅をまく人は、全員に餅が行きわたるように平均にまく。
みんな夢中になって餅を拾う。
それでも多く拾う人と少ない人の差が出る。
餅まきに老若男女が集まる。



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餅を拾った村人たちは満足げに家に帰る。
残された成人用の餅まき台。
この台は高い位置から餅をまくため専用に造られる。
高さは2mくらいはある。
昔から周囲をヒノキの葉っぱで餅まき台をカモフラージュする。
神社の世話人が造る伝承で、こだわりの世界。

垣間見みると単純だが、なにかを伝え残す意味なのか。
毎年繰り返す田舎の行事。
人が減っても、過疎を感じない餅まき。



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by hama-no-koya | 2014-11-17 05:10 | Comments(0)
2014年 11月 13日

神楽




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夜の神社の境内。
村の秋祭り、神楽が奉納される。
はなやかな神楽ではなく、村人がお面をつけずに素顔で舞う。
昔から村に伝わる舞台芸能。
舞手は減り、演目も減った。
鳴り物の笛はなくなり、太鼓の音だけが闇夜の森に響き渡る。
村人も減り、観客はいないが舞い続ける。

感情が入り、昔の時代に戻る舞手。
秋の夜長、神楽を舞う人。普段はそこらの村人。



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古い舞台に立派な楽屋が付いている。
大きないろりが部屋の中央にあり古い衣装棚が壁になる。
夜を延々と舞い続ける神楽に必要だったから。
出番を待つ人、舞終えた人も楽屋に居残り溜まる。
お神酒を飲みながら時を待ち過ごす。
感情移入が現実にもどる炉ばた。
時代が変わっても、人が減っても変わらない空間。
ありふれた田舎の生舞台。

今秋の舞手は一人だった。 独演で幕数が少ない奉納。
神楽が無くなれば、楽屋の火が消える。
残るは人の記憶だけ。



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by hama-no-koya | 2014-11-13 05:19 | Comments(0)
2014年 11月 11日

しめ縄づくり




秋の行事として神社の注連縄を新しくする。
村人たちは神社の広場で稲わらを縄に編み上げ、
大小さまざまの注連縄を一日がかりで作る。

稲わらを束にして撚りをかけ一本の縄にする。
大きいしめ縄は三本撚りで、小さい縄は二本撚にする。
誰が考案したか縄は世界中で使われる。

弱い稲わらを集め束にして撚りをかけ太くて強い縄にする。
村が生きるために人々が結束をするように。
神々の教えか、先人たちの伝えかわからない・・・。
時代をこえても大切な意味。



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昔から注連縄づくりの昼飯には酒を飲む。
午後の作業に差支えない程度の酒をそれぞれがたしなむ。
仲間の会話がはずみお互いの気心が知れるように。
そして午後の作業がはかどる。
これも昔からの言わずと知れた昼食のたいせつな慣わし。
職種が変われば、日頃会えない人もいるから。
通勤も地仕事もある田舎暮らし。



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午後からは出来上がった注連縄を境内各所に架けかえる。
新宮山の奥宮には数本の注連縄がある。
竹で作った鳥の巣(背負いかご)に縄入れ数人がを山道を登る。
太くて長い縄を丸く手繰り入れるに適している鳥の巣。
達者なものが、新宮奥宮の担当になる。
1478の段々道を歩くから。



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秋になれば秋の行事がある。
田舎の行事は、暮らしや季節を光景で感じる。
いつまでも残したい村の行事。
無心で新宮の山道を登る数人の村人。







by hama-no-koya | 2014-11-11 05:09 | Comments(0)
2014年 11月 06日

ジンベイザメ




大敷網にジンベイザメが迷いこんだ。
今年これで三回目になる。
網の中をゆうゆうと泳ぐジンベイの巨体。
体長は6~7m、重さは推定1トンくらいはある。
大きいがおとなしい魚。


ジンベイの市場価値はない。
だから場外に逃がす。
相手が大きいので手間のかかるリリース作業。
やさしくなだめ網の外に誘導する。
暴れることはない。



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漁師に尾をふるジンベイ。
さようなら~







by hama-no-koya | 2014-11-06 05:15 | Comments(2)
2014年 11月 04日

南日本海のサケ




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大敷網に一匹のサケが迷い込んだ。
毎年、数匹とれるが漁村では珍しい魚に入る。
いつもは他の魚と一緒に気にせず出荷するが今回はサケを試食する。
乗組員が8人なので8等分に解体した。
誰もがイクラを期待して腹を開けるとオスで白子だった。
型のいい脂がのった魚体と赤色が実に美しい。
ジャンケンで持ち帰りの部位を決める。
我が家の切り身は下半身だった。

それぞれが地元産の珍しい獲れたてのサケを家族と食べる。
日常の変わった贅沢を自宅で味わう。
刺身で食べた、鮨にした、焼いて食べた、頭を鍋にした人もいた。
どの食べ方も絶賛だった。
翌朝はサケ話題が自然に飛び交う。
サケの本来の味を知る漁師。
  

サケのふるさとはどこだろう。
どこかの川に遡上するため列島沿いに南下をしていたのだろう。
帰省の途中に網に迷い込んでしまったサケ。
長旅の終わりは人の胃袋・・・。
それでも美味しく食べられことが、サケの救いになるだろう。
人は身勝手で食物連鎖に入らない?

キリマンジャロの山頂氷河が後20年くらいで無くなるらしい。
そのころ南日本海のサケはまぼろしになるだろう。
サケを食べたことが漁村の昔ばなしになる。


環境や魚の資源まで考える村の漁師。
海で生きるから。



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by hama-no-koya | 2014-11-04 05:36 | Comments(0)
2014年 11月 01日

海辺の岩壁に咲く花




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秋になると海辺の断崖に咲く花。
花の名前は知らないがその存在は昔から地元で知られる。
吹き上げる海風に耐えて咲く青紫の花。
名前を知らない地道な菊。


あなたは、どうして岩場のきびしい環境に咲くの?
そこがわたしの居場所です。


土もない岩の割れ目に根をはり岸壁にぶら下り花を咲かせる。
素朴で花数も多くない、それでも存在価値はある。
そこにある原石の美しさのような。

街の庭に咲く懸崖の美しい菊を見たことがある。
容姿の手入れが奇麗にされている。
幹が強制的に曲げられ小枝がそつなく引っ張られた形跡がある。
花を美しく見せるための必要な矯正だろう。
岩場の菊は整形されなくても美しい。
いじらずに自然体だから。

 

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この岩壁にはもう一つ見どころがある。
なんと大男の右足跡が岩場に残されている。
大きさは1mくらいで足跡として形状が確認できる。
この足跡は「伝説のビックフット」として漁村の名所になりつつある。
珍百景でもないがローカルな地話。
昔から漁村の岩壁に残る大きな謎の足跡。

最近その近くの岩場で大男のウンチの化石らしきを発見した。
茶色い石のシミが巨大なウンチに見えたから。
街の旅女子に認定を依頼した。
つまらない想像がその日から実像に変わった。
ウンチも伝説になるのか・・・


漁村の伝説は作り話だが何かの資源になるだろう。
人がカメラを身軽に持つ時代になったから。
漁村の伝説は無駄でなく遊び心として実におもしろい。
伝説には子供も大人もないから。



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by hama-no-koya | 2014-11-01 05:11