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浜の小屋

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2011年 12月 24日

漁師の年末

12月の25日前後数日は魚の市場価格が上がる。
漁師は、この時期にラスト・スパートして暮れの支払いを済ませ正月を迎える。

21日から冬場の潜水漁が解禁したが途中で海が荒れてきたのでお昼で切り上げた。
例年より水温が高いのか?資源が枯渇したのか・・・?創業(30年間)以来最悪の解禁日漁だった。
サザエもアワビもナマコも資源が極端に減ってきた。

魚はヒレが着いているので待てば回遊してくる可能性もあるが貝類には尾びれが無い。
アワビもサザエも受精卵が浮遊し幼生化すると岩礁や珪藻に付着しそこで数ミリの大きさまで成長する。
数センチなると魚などの外敵や時化から身を守るために岩の隙間や海草に付着してカモフラージュする。
アワビは年間約3cmの成長だから3年で順調に行けば捕獲可能の10cm以上に育つ。
俺が見た過去最大サイズのクロアワビは殻長約20cmで重量1kgである。
そこまで育つことは極稀で、餌場やその他の生育環境に恵まれたからだと思う。
でも、いちばんは何年も外敵のタコや人目に付かなかったからそこまで生きれた運だと思う。
アワビやサザエは外敵からの逃げ足はほとんど無く硬い殻を閉じるが天敵のイシダイやタコは襲う。

サザエも幼少期はアワビとほぼ同じように育つが自然繁殖量がアワビより数倍も多い。
だから生育個数も多くなり漁師の捕る量も多くなるが価格はアワビの1/10(kg単価)と安くなる。
潜水操業は、アワビ狙いかサザエ狙いかを絞る人もいれば、両方を狙う人もいる。
要するに目的は水揚げ金額が多いい物を獲る。
俺はオール・ラウンド・プレーヤーだからアワビもサザエもナマコも採り、たまにモリで魚も突く。
そんな感じだから水揚げランキングは創業以来下位を低迷している。

海が凪なら仕事だから冬の海に潜るが、アワビもサザエも資源が年毎に減ってきた。
いちばんの原因は漁師がそれを獲ったからだと思う。
自然界に生息する多くの生物には天敵がいて生態系のバランスが保てるが人がそれを壊している。
寒い冷たいは我慢をするが獲物がいないと寒さが倍になって体に感じる。

漁師でありながらアワビのステーキがだんだんと遠くなる。
以前は貝料理のワインを赤にするか白にするかを迷ったこともある。
寒い夜は、醤油を入れないサザエの壺焼きにシャルドネ種の白ワインがよく似合う。

by hama-no-koya | 2011-12-24 06:57 | Comments(0)


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