「 旧河野邸 」が気に入った。
風化寸前の空き民家を、誰かが再生したゲストハウス。
見た目は、そこらの民家と変わらない。
過ぎてきた、まちの暮らし。漂う空気まで再生を感じる家。
家も生きもの、相手にされないとさみしい。
昼寝がしたくなる。
ごろごろするだけで、幸せを感じる。
なにも考えない部屋。
穴の開いた謎のちゃぶ台。
すき焼きか、シャモ鍋の煮え音が聴こえるる。
これも暮らしの遺産。
一日の内で、いちばん楽しい時間になった。
津屋崎の仲間夜会は、地の魚を表現する洒落た小料理屋。
俺が漁師だと知った上。あえてテーマは地魚のディナー。流石の企画力。
イシガキダイの姿造りがメイン・ディシュ。
イシガキダイは、魚屋さんでは見かけない魚。地場の魚といえる。
イシダイと同じ形をしているが、紋様が縞でなく石垣柄。
白身で、ほのかな磯のかおりがする。
この魚は、全国どこで食っても変わらない美味しさがある。
接客の、お姉さんが好印象。容姿、マニアル、愛想、間合い、みんなまんてんの☆。
美味しい料理がより美味しく。楽しい夜会がより楽しくなる。
人ではじまり、人で終わる日。
田舎で味わえないものを、津屋崎の夜で得た旅人。