夏が来た 「鳴き砂」 の浜辺。
青空に、今にも消えそうな二つの白い雲。
過ぎてきた、人生の海辺がある。
忘れかけた厳冬の越前海岸。 記憶に新しい気仙沼の海辺・・・。
全ては、この浜辺が入り口だった。
近い昔、ロシアのタンカー・ナホトカ号が日本海で沈没した。
積荷の重油が、真冬の海に流れ出した。
ドロドロの黒い重油が、丹後半島から能登半島にかけての沿岸に漂着した。
2・3日の、ボランティア旅のつもりだった・・・。
真っ黒に汚れた海岸。 全国から多くのボランティアが海辺に集まった。
真冬、寄せ集めの仲間と海に行き、寝泊りした15日間の記憶。
誰のものでもない海。
津波の被災地・気仙沼で見たもの・・・。
複雑な心境の海辺があった。
行くべき所へ行き、見るべきものを見てきたこれからの人生。
忘れたくても、忘れることができない海辺。
引き波が流しても、寄せ波が戻す海辺の記憶。
・・・過ぎてきた私の海の日。