晴れた日に漁村を散歩すると色々な干物が目につく。家々で自前の干物を造るから。年中通していちばん多く目にするのはアジの開きだろう。
アジの干物は塩味が定番だが・・・醤油と味醂ベースの特製たれにアジを漬込んで干物にするオバさんがいる。彼女は、こつこつと干物を造ってゆうに50年は経つと思う。地元では「アジのみりん干し」で古くから親しまれる。
干物の製造は秘伝でもないが独特な感じがする。アジの浜値が安い時に製造されるのでいつも見られる風物ではない。アジはいても日和を選んで干物を造るから。特製のリアカーに乗せた金網の覆いにアジを干すのは、天敵のネコやカラスから干物を守るため。リアカーの荷台干しは、陽の傾きや風を読んで場所を移動する。手間と暮らしの知恵と経験で干物が出来上がる。
漁村の日常かも知れない・・・無意識で気が付かないこだわりかも知れない。食べて知るアジのみりん干し。