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浜の小屋

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2015年 06月 04日

車窓




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いつも、走る列車を漁村から見ていた。
たまには、走る列車から漁村を見ることにした。
宇田郷駅に入線する見慣れた列車。
車内は数人の乗客。

無人駅での乗降りは車内で整理券を取り、降車時に車内精算する。
田舎では便利なSuicaは使えない。
寒冷地のローカル車両のドアは開閉の押しボタン付が多いが、
西日本のローカル車両は、都会並みでほぼ自動ドア。
電車とタクシーは自動ドアと決めつける日本人。
待っても開かないドアに戸惑う北国の冬旅がなつかしい。
旅の恥はかき捨ての笑い話。
先入観と乗り方を知らないだけのこと。
それともローカルマナー?



車窓_d0159062_21181650.jpg


車窓から見る尾無の漁港。
暮らしの場が、どこか遠くの田舎風景に変わる不思議さ。
角度を変えて観るいつもの漁村集落。
海辺の公民館が妙に新しい。
ここ数十年間で新築された漁村で唯一の建物だから。
歩く人も無い静かなたたずまい。



車窓_d0159062_21181704.jpg


惣郷鉄橋から見る穏やかな日本海。
乗客の多くは列車が橋を渡っていることに気づかない。
車窓は川に架かる橋でなく海に架かる橋。
眼下に赤島とサザエ瀬が見える。
他人には何でもない風景だが、懐かしいと思う人もいるだろう。
都会に憧れ、ふるさとを後にした若者が多いから。
過ぎてきた昭和の時代。
いつしか窓枠が額縁に変わる世。


田舎暮らしを車窓から見る。
いい時代に生まれ、いい場所で暮らしていると思う。
たまたまで、ただそれだけの人生ごと。
生まれた所で今も暮らす。

車窓から見る、近くと遠くの世界。
寄せては引く、田舎暮らしのズーミング。
被写体の深度と間合い。







by hama-no-koya | 2015-06-04 04:53 | Comments(0)


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