浜の小屋

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2012年 03月 30日

春のヒラメ

南の風が吹いて暖かくなった。
海の中も少しは春らしくなったような気がする。

ヒラメが産卵期を迎えたので大きなメスは、お腹に卵が詰まっている。
平らな魚で裏表がある。生きた魚を餌にするので口が見た目より大きく歯も鋭い。
そんな春のヒラメも恋の季節?。パートナーを求めて広範囲に婚活する。
それが定置網には好都合。魚が活発に海遊すれば網に入りやすい。
今朝も、大小のヒラメがそこそこ獲れた。

生き〆したヒラメのしゃぶしゃぶは、繊細な大人の味がする。
表層は雪のような白、中層は半生、芯は生身、入湯加減は個人の好み。
刺し身も美味しいが、しゃぶしゃぶは口に入れるまでの数秒と雰囲気が楽しめる。
シンプルに昆布だしのお湯鍋。好みのレモン醤油をその場でつくる。
冷やした大吟醸。男と女が言葉静かに食て春の夜を過ごす。
「春眠暁を覚えず」・・・。

今から20年くらい前の話。秋になるとヒラメ釣りを専門漁にいていた。
多い日には十数枚も釣ったことがある。
価格も最高値は、6キロくらいの大きさでセリ値が一匹・6万円もしたことがある。
今の相場はその数分の一。古くない夢のような昔話。

ヒラメが安くなった要因は、新しい繊維の網で大量に獲れるようになったこと。
それに養殖技術が進み安定供給ができるようになった。
魚相場全体にいえることは、景気の低迷による高級魚の需要の落ち込み。
今ではヒラメの資源も減り、漁師にとっいては厳しい時代になった。

天然魚が野菜や肉とちがうところは、生産管理や品種改良ができないこと。
300年前のヒラメの刺し身も、今日の刺し身も同じ味がする?
人が育てることなく海が育むから。
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by hama-no-koya | 2012-03-30 14:42 | Comments(0)
2012年 03月 28日

地旅・・・別れ。

海辺の田舎町から帰る時が来た。
一泊二日の短い時間だった。そこには旅の素晴らしさはないが良さはあった。
これまでの旅にない、気取らない楽しさがそこに潜んでいた。

旅には目的や希望がある。今回の田舎旅はそれを結果で感じる旅。
地旅のコーディネイターは、そのことが田舎暮らしの積み重ねで身についていた。
感性や直感は経験や境遇からで、天然で学ぶことができないもの。

いつもは、限られた予算で採算を考えて素人が地道に企画する旅だった。
今回は、役場からの「御ほうび」でプレゼンテーション無。「理想の旅を描け!!」だった。
建前は、「モニター・ツアー」。しかし旅人には「本番の旅」・・・。
その結果はシリアスで、現代人の身近な巡礼のような空間旅を感じた。

地旅の企画でいちばん悩むのが募集。どこの人をどうやって何人集めるか。
旅の買い手が街場の暮らしにある。田舎人は効果的な福岡の旅行業者にお任せした。
価格を「激安にすれば人が集まる」。これも無視できない。
どんなかたちをとっても、描いたものは消さずあくまでも内容で勝負した。

地旅の出口は、入り口と同じで「道の駅」だった。
誰も満足げな顔で帰りのバスに乗り込んだ。
漁師オジサンとのハグが、やわらかで気どらない田舎旅の終わりをつげた。
思い出を乗せたバスが静かに動いた・・・。
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by hama-no-koya | 2012-03-28 18:07 | Comments(0)
2012年 03月 26日

地旅・・・体験。

「でんでらりゅうばぁ~♪」の娘たちが起きたころ・・・
オジサンは、いつもの漁に出ていなかった。

今日の体験メニューは、「サザエご飯と刺し身造り」。
講師は地元漁師と婦人で、魚のさばき方から盛り付けまでを体験する。
料理教室とかでなく、魚料理の良いとこ撮りの予告編。
ブリはすでに解体されていた。イカはオジサンが朝に獲ったもので生きていた。

旅人は慣れない手つきでイカを開く。ポイントは墨袋を破らないこと。
みんな初体験とは言いながら曲がりなりにもイカは解体された。
後は、ブリとイカを刺し身サイズに切ってお皿に盛り付ける。
先生はあまり難しいことは言わない。迷わず切って自分の感性で皿に盛れだった。
お遊びと学習の中間くらいの実体験。
若者の魚離れの一つが、魚の調理が面倒である。今日はそうでない体験。
漁業者から見れば魚の販路の拡大を狙っている?

サザエご飯と「刺し身定食」の出来上がりは、俄か先生の想像を遥かにを超えていた。
初めてにしては上出来だった。街人もやればできる!
後はみんなで食べるだけ。漁村の美味しさが旅人を包んだ。
なんとなく仕組まれた満足感だった。

漁村に行けば、旅人は漁師体験ができると思うが・・・
受け入れ側は、それを体験メニューに組み込むと旅人に何かを期待される。
その日が悪天候で海上の漁師体験が実施できない。旅人の目的や楽しみは流れる。
漁師体験のニーズはあってもメニュー化できない実情が現地にはある。

漁師の「魚料理教室」は魚食普及と美味しいものだったが・・・
「らんかん橋」はそこになく、人はそれをどこにでもある「グリーン・ツーリズム」とよぶ。
トヨタ・パッソのCMがなぜ「でんでらりゅうばぁ~♪~」になったのか?
旅人が、不思議を感じない体験だった。
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by hama-no-koya | 2012-03-26 17:46 | Comments(0)
2012年 03月 25日

地旅・・・音楽。

漁師のオジサンの家にはミニ・スタジオがあった。
カリブのバハマにある「コンパスポイント・スタジオ」を真似ての手造りらしい。
とは言っても、音楽を聴くだけで隠れ家のような単なる趣味小屋。

田舎暮らしに音楽は必要ないように思われがちだが、・・・そうでもない。
田舎や自然を表現した癒しの曲は多い。クラシックには「田園」や「四季」の名曲がある。
今も暮らしの中に、春になれば桜の曲がながれ、秋になれば枯葉が落ちる。
音楽は、使い方しだいで田舎暮らしや旅の調味料になる。

海辺の田舎町で「ジャズ・コンサート」をやって今回で8回目になる。
今年も、5月27日にいつものように町のホールで開催する。
一部は、「スイングJAZZで彩る映画音楽」の本物を豪華に楽しむ。
「グレート・アメリカン・ジャズ・オーケストラ」を指揮するのはフランク・キャップ。
ヴォーカルにシーネ・エイ(美人)とブルース・ハマダ(男性)が入る。
二部は「美女たちの優雅なピアノの調べ」
木住野佳子・山中千尋・片倉真由子の3人とニール・ウエインソン(b)とジョーラバーベラ(ds)。
小さなホールだが、ピアノは常設のスタインウェイ・D274。
3千数百人の田舎町にいつも凄いアーチストがやって来る!!
それを映画で観た「ニュポート・ジャズ・フェスタ」のような夢が叶ったとオジサンが言った。
人の想いは、本気になれば海を越えて通じる。

夕食の後、みんなで音楽や旅の話をした。
旅に出てまで音楽を聴くことはないと思う人は多いいが・・・
疲れた旅の途中で、一人海辺でイヤ・ホーンからながれる音楽は現実を離れて、
エモーショナルを超えた恍惚の世界に到達すると言った旅人がいる。
人生は演出で、遠足のポットに詰め込むのは紅茶だけではない。

海辺の田舎は、朝が早いと言いながら・・・
不思議なオジサンは、いつの間にか旅人の夜から消えた。
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by hama-no-koya | 2012-03-25 17:05 | Comments(0)
2012年 03月 23日

地旅・・・宿。

夜は、漁師のオジサンの家に泊まった。
表向きは、「漁師民宿」になっていた。宿らしくなく集落の自宅がそのままだった。
漁村にありがちな密集した赤い瓦の家々。迷路みたいな路地裏。

旅人は、今晩食べる魚の準備に同行する。
オジサンが獲った魚たち。食べられることを知らずに水槽の中で泳いでいた。
さりげなく、ヒラメとカワハギとアジを網で救った。
なんと、その場で騒ぐ魚たちの血を抜いて手早く生き〆にした。
それでも女は食べることが先走り、不思議にかわいそうとは思わなかった。
泳いでいたイカは、反対に生きた状態を長く保つために優しく扱われた。

女5人の旅人は、小川に沿って離れの食事場に向かう。
そこは以前オジサンが「自宅居酒屋」を開こうと思って自分で改装した小屋。
飾らない室内が他人の旅人を家族的に迎える。
以前は、「一般食堂」の認可でいつ来るか分からない仲間客をそこで待っていた。
今は、「漁師民宿」の食事場として一組限定で泊まり客が利用している。

夕食のメニューは当日に決まる。その日に獲れた魚を使うから。
食の技術を持たない漁師のオジサン。自分で獲った魚を切って並べるだけ。
刺し身がメインになるが、その半分は「しゃぶしゃぶレモン」で食べる。
焼きものや煮物もあるが、全体にフレッシュでシンプルな味を素直に表現していた。
食材を食感で食べる味。大雑把と繊細が同居するような・・・。

オジサンは妻を似非女将とよんでいた。自分が料理人でなく漁師人だから・・・。
二人の楽しみは、街から来たお客さんと話すことらしい。
民宿の食事というより、街で暮らす娘が帰ってきた雰囲気の食卓だった。
一人になりたい人には迷惑だと思うが、それが民泊なのだ。
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by hama-no-koya | 2012-03-23 18:35 | Comments(2)
2012年 03月 22日

地旅・・・漁村。

高台にある国道のパーキングから海を眺める。どこまでも海が開けていた。
その海を渡ると朝鮮半島があり、ユーラシアのとてつもない広大な大地が始まる。
その大きな大地もロカや希望の岬で終わる。そしてまた海が始まる・・・。
田舎者だってそこまで考える。

そんな風景の中に、漁師のオジサンの村はあった。
そこは海の香りというより漁村の匂いがした。成田空港は寿司の匂いがするように・・・
旅をすると分かるが土地によって匂いがある。それもそこで暮らしていると感じない。
暮らしが体に染み込むから。

漁師のオジサンはそんな海辺に小屋を建てた。
トーベ・ヤンソンやアンモロー・リンドバークが過ごした海辺の小屋を真似て。
街の人が遠くにある作品のような海辺の世界へ近づくために。
質素な小屋の前で、漁師のオジサンは真面目に話した。

漁村の案内人はそこで暮らす親子。地旅のインタープリターはネイティブ漁師が務めた。
海外のツアーに、ガイドと通訳の役割分担があるように。
漁村にはムーミン谷のような素晴らしさはないが、なんでもない間にも何かはある。
いつかしたことのある「かくれんぼ」のような時間が。

「伝説のビック・フット」は、波打ち際の岩壁に残る大きな茶色の足跡。
「鳴り浜」は、波が小石を洗う音。その演奏は澄んでいて文字や言葉で表せない。
「汽車の橋」は、コンクリートの作品で美しい鉄道橋が海辺の景色に溶け込む。
「トタン屋根のバス停」は、なんでもない田舎の風景。

田舎は団体で巡る旅ではない。小人数の感性旅が似合う。
見えるものが見えなかったり、感じるものが感じられないこともある。
そんな訳の解からない漁村の散策だった。
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by hama-no-koya | 2012-03-22 18:02 | Comments(0)
2012年 03月 20日

地旅・・・浜辺の昼食。

車窓に青い海が開けた。
春なのに冬日。どんよりした鉛色の雲が時折下がる日本海。
街人の想像を超えて、目の前にコバルトの海が広がる。
季節の変わり目。ネガティブとポジティブを沖合いの水平線が分ける。
足元に広がる白い砂浜。

清ヶ浜は、歩くとキュッ・キュッとかわいい音がする。鳴き砂の浜辺だから。
その砂浜が数年前に鳴かなくなった。
昔の浜辺を知る数人の仲間が立ち上がった。そして「鳴き砂復活隊」を結成した。
老若男女の地道な活動が実を結び小声で砂が鳴くようになった。

昼食は炭焼きパーティで、大きな鯛の尾頭付き、サザエ、牛、野菜・・・。
どれもフード・マイレージはゼロ。地元で採れた新鮮なもの。
なんとなく大盤振る舞いに見えたが、それも純粋な田舎人の歓迎表現のかたち。
台本は「楽しい昼食」だった。結果は「美味しいものは人々を幸せにする」に訂正した。
フード・コーディネイターは、筋書きを超えたことを食べる人の笑顔で知る。

一つだけ気になることがあった。
強風のため昼食会場を急きょ変更した。困ったことにそこにはトイレが無い。
必要に応じてオプショナルのトイレ・ツアーを出すことにした。
多少の不便はあっても屋外の飲食は理屈抜きに楽しい。

仲間をつくる場として昼食時間を長めに設定した。その効果は充分あった。
参加者が食事の後片付けを手伝うと言い出した。
ツアー・メニューの最初を食事にしたことが正解だった。

お腹がいっぱいになった。次は田舎のお散歩。
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by hama-no-koya | 2012-03-20 13:31 | Comments(0)
2012年 03月 19日

地旅・・・道の駅。

オムニバスは、関門大橋を渡り山口県に入る。
初対面の旅人たちが仲良くなるには時間がかかる。
隣りの席へのアプローチは、距離に問題ないが意外と難しい。
ゴルフのパターのようなもの。近すぎても力みが入る。

乗り物で女性と相席することがある。それでも男の多くは女性に声をかけない。
画面のゲームで育ったせいか、近頃はシャイな男が増えてきた。
「電車男」を知る人は少ないが、周りで後押ししたくなる。

海の向こうでは、初対面の緊張をほぐす「アイスブレイク」という時間がある。
添乗員やMCがその大切な間をつくり、それからみんなの仲良し空間が始まる。
時と場合によってはアルコールを配ることもある。
雰囲気を和らげるより、基本は「キッカケ」をつくることだから。
今回の乗客は旅慣れているのか?お達者なのか?その心配は無用だった。

中国高速道から短い支線高速を走り、その先バスは山道の一般道を走る。
途中で観光地の萩をスルーする。しばらく海辺を走り「阿武町道の駅」に着いた。
道の駅「阿武町」は、各地に数あるロード・ステーションの発祥の地。
年数を経ているのか店舗もトイレも接客も平均点。売り上げも横ばい状態・・・。
それでも町の玄関で、人の入り口であり出口でもある。

阿武町は萩の隣り町。しかし地図の上では萩市に囲まれた町。
ポルトガルと同じで一部を海に面しているが背後には大国のスペインがある。
人口3,800人の町が今も健在であるには何かの訳がある。
答えは、旅の終わりに出るだろう。

道の駅「阿武町」にはトイレ休憩に立ち寄った。
その考えが原点で、この地から全国に「道の駅」が普及した。
バスは、海辺の昼食会場に向かう。
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by hama-no-koya | 2012-03-19 11:45 | Comments(0)
2012年 03月 18日

地旅・・・出迎え。

田舎が寂しくなっていく。
そこで暮らしていても楽しいことは結構ある。
その一つが地旅を企画して街の仲間と田舎で遊ぶこと。

漁村を朝の4時に起きて、新山口から博多の仲間を迎えに行く。
博多駅の朝は、俺が暮らす漁村とは違っていた。
なんとも言えないほのかな薄化粧した若い女性の街香りがした。
楽しい旅の予感がする。

博多駅へ集合して、山口のひなびた漁村へ行く「1泊2日謎のバスツアー」。
添乗員は、田舎漁師のオジサン。
集まったのは、なんと田舎では稀にしかみることのできない若い22人の男女。
ほっとすると同時に、受け入れ漁師のモチベーションが目覚めた。

若者を乗せたバスは、田舎に続く高速道路を無言でひたすらに走る。
旅人はこれか始まる旅がどんなものか予測できない・・・。
車内は、楽しい方向に走っている空気感。
さつきとメイが乗った「となりのトトロ」のオート三輪のような。

関門海峡に架かる大きな橋が「バック・トゥ・ザ・フィーチャー」の役目をする。
現実は、アジアとヨーロッパの境目にあるボスポラスの海峡と重なる。
帰り道は、橋が「オーバー・ザ・レインボー」になる旅。

オジサン漁師の添乗員にできることはそのくらいだから。
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by hama-no-koya | 2012-03-18 05:22 | Comments(5)
2012年 03月 16日

はえのかぜ(南の風)

今頃になって「春いちばん」が吹いた。
春先に吹く暖かい強い南風。
漁師にとっては、やっかいな風で昔から歓迎しない。

日本海側にある地方では、南風は山から海に向かって吹き出す。
この風は塊となって突風になる。
大きな波は立たないが海面が風波と潮吹風で真っ白になる。
昔、手漕ぎの舟や小さい動力船は沖合いに流された。
今は、船に強力なエンジンが付いているのでその心配はないがそれでも嫌な風。

南の風が吹くと定置網に魚が入らない。
なぜそうなのか解からないが、昔からそうである。
今朝は、最悪でヤリイカとヒラメと小フグが少々いたくらいだった。
そんな日もあるとあきらめる。

漁師は冬の間は北西の季節風に悩まされ、春になるとハエノカゼに悩む。
「風が吹けば桶屋が儲かる。」現にそんな商売もある。
今でも通用する理論で好きな言葉。

我が家は、木造の古民家なので風の音が家の中まで聞こえる。
街の家は、雨や風の音が室内に入らないので快適だろうが・・・
田舎で暮らすと雨や風を嫌でも感じる。
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by hama-no-koya | 2012-03-16 21:36 | Comments(0)